僕ラブ16戦利品感想②

ジュラライブ!/恐竜まくのうち/奴の背中を狙う者さん

何だこれは。
……と言うのが、初めて存在を知ったときの正直な感想。一億年前の世界を舞台に、μ’sと良く似た九頭の恐竜達が繰り広げる冒険を描いた漫画作品。Twitterでサンプルをお見掛けしたときからもう気になって気になって仕方なかったのですが、これは怖いもの見たさで手に取ったことを恥じてしまうほど、しっかりと全体が構成された良質なストーリー漫画でした。最後には思わず涙も。
何と言ってもやはり、前置きなし、説明なしでいきなり展開される「恐竜μ’s」の画面の力がまず物凄い。あとがきによると「穂乃果=ティラノサウルス」はまた別の方の発想であるとのことですが、いや、とは言えこの出オチと受け取られてもおかしくないネタで真面目に物語を成立させてしまう、この構成力は非凡のひとこと。原作から一番遠く距離を取ったところからお話を始めておきつつ、最終的には原作が持つもっとも根源的な空気感へと着地させる手腕はさながら熟達の奇術を目撃しているようですらありました。
優れて少年漫画的な紙面の作り方も読みやすさと迫力とを見事に両立させており、「ピィ!」としか喋れないニコちゃんという、あからさまにギャグめかした要素まで終盤のドラマに活用してくる抜け目のなさと来たら。もう!
「何でμ’sが恐竜に……?」「って言うか髪の毛が……?」「ええ……?」みたいな違和感はどんなに当たり前みたいな顔をして描かれたところで、最後まで払拭はできませんが() むしろこの違和感、ツッコミ不在のスリルがフックになっているからこそ、結末のアクロバットにこうも強く惹かれたのかも知れないな、なんて風にも思ったりして。だとすると、ある意味でこのレビューは興趣の一部を削ぐことになってしまっているかもわからずヒヤヒヤものなんですが。いや、イロモノはイロモノでもただのイロモノじゃないんだってば! と、どうしても声を大にして言いたかったんです! わー!